【SSDについて調べてみた。】
SSDってなに?
Solid State
Drive(ソリッド・ステート・ドライブ)の略である。
流通し始めたのは2007年頃ぐらいにPCパーツショップ等に登場したと記憶している。この時の性能として2.5inchサイズ・SATA接続・SLCセル・100/128GBだったと思う。2008年頃には240GB/256GBが出ていた。HDDとは異なり、新技術が採用されている記憶装置(ストレージ)だ。SSDは集積回路ことメモリチップ(Flash ROM)とコントローラーを装備したストレージである。イメージとしてはメモリチップが棚でコントローラーはそれを整理する人である。
このような技術は過去から進化しており、おおまかにはフラッシュメモリ(SDカード等)→mSATA(mini-SATA)→SSDという変貌が理解しやすいだろう。
そして長年、記憶媒体として大容量ストレージの座を誇っているのがHDDである。
HDDとはHard Disk Drive(ハード・ディスク・ドライブ)の略である。
磁気円盤が高速で回転し、磁気ヘッドを動かすことで情報を読み書きする記録装置である。
CD上で読み書きヘッドを動かして音楽を鳴らす蓄音機のイメージが近い。CDの枚数が増えれば容量は増量する。そんな感じである。
2015年頃にキャッシュメモリを搭載したSSHDという「HDDにSSDみたいなメモリを搭載してみました!」という読み出しだけはHDDよりも高速でハイブリッドなHDDが登場したこともあったが、廃れた。
HDD→容量増加の進化→2023年現在で22TB/台もの容量を誇るHDDが登場。
→SSHD(廃れた)
【SSDのメリット/HDDのデメリット】
SSDは電子部品のみで構成されることから、可動部の含まれるHDDと比べ、衝撃や振動に対して強い。また同容量でサイズを比較すると、HDDよりも小型軽量なため省スペース性に優れる。そして、読み書きの物理速度の限界があり、HDDよりも高速にデータのやり取りが行える。
また、一部SSD製品にはDRAMやキャッシュ・スペースという読み書きをアシストするチップが搭載されており、読み書き時の速度を一定まで低下させない機能が備わっている。
特別な理由がない限り、「待機時間を減らしたい、速度を必要とする、低用量でも構わない」といった読み書き速度を必要とするOSインストール用ディスクや、動画編集の一部作業スペースに、SSDを用いることが理由としてよいだろう。
【SSDのデメリット/HDDのメリット】
枯れた技術というわけではないが、HDDのほうが、値段容量比でSSDより優位である。
4TB-HDDは特価で1万円程度だが、4TB-SSD(2.5inch)で4万円にもなる。(2023年1月現在)
SSDは使用されているNAND型Flash ROMの特性に起因する、書き換え回数制限やデータの保持時間に制限がある。通電しなければデータの欠落が発生してしまう。USBフラッシュメモリなども同じ原理でデータ飛びが発生してしまう。
HDDは磁気保存されているため、通電しない期間があっても可動部が生きている限り読み書きができる。そのため、水没したHDDでもデータレスキューが行える(そんな業者も多数存在している)。
特別な理由がない限り、「低コストで、速度を必要としない、大容量が欲しい。」といったデータ倉庫等にHDDを用いることが理由としてよいだろう。
【SSDのNANDってなんだ?】
NAND型Flash ROMことフラッシュメモリはセルという小分け区画がいくつあるかによって分類されます。
NAND型フラッシュメモリの種類とそれぞれの特長をご紹介します。
/SLC
1つのセルに対して1ビットの情報を保存できるフラッシュメモリがSLC(シングルレベルセル)です。正確性や信頼性、耐久性に優れている点が特長で、書き換え回数の上限(寿命)は9万~10万回ほどとされています。
ただし、1セルに格納できる情報量が少ないため、低容量で価格が非常に高価などのデメリットがあり、一般ユーザー用途には適していません。
/MLC
MLC(マルチレベルセル)は、1つのセルに対して2ビットの情報を保存できるフラッシュメモリで、データ密度がSLCよりも高く大容量を実現できる点が特長です。
1つのセルの中に入れる情報量が増えた分だけ読み書き頻度も上がるため、SLCに比べると寿命は短く、書き換え回数の上限は8,000~1万回ほどとされます。一般ユーザー向けとして市場に出回っているSSDでも、広く採用されています。
(なんでシングルの次にDualのDLCとかじゃないのか?という疑問については開発上、1の次が複数(マルチ)と規定してしまい、次が3を意味するトリプルになりました。先見性ないねややこしい。)
/TLC
TLC(トリプルレベルセル)は、1つのセルの中に3ビットの情報を入れられるフラッシュメモリです。書き換え回数の上限は3,000~5,000回程度と、MLCより寿命はさらに短いですが、より安価で大容量にできる点が特長です。
書き換えの耐久性と値段比でいうと下記のQLCよりも購入する際にはオススメです。
/QLC
1セルに4ビットの情報が保存可能なNAND型フラッシュメモリがQLC(クアッドレベルセル)です。NAND型フラッシュメモリの中でもとりわけ低価格と大容量を両立していますが、1セルあたりの書き換え回数は500~1,000回程度と、耐久性は劣ります。
エントリーモデルを称して売られていることもあり、読み書き速度がTLCよりも遅いなど、とコスト削減されている製品に多く実装されています。
/脱線話
もしかしたら次には1セルに5ビットの情報が保存可能5=「quintuple」でQLCとか、
6 =「sextuple」でSLCとかいうNANDレベルのセルが開発されるかもしれませんね。センスのないネーミングになること待ったなしだわ・・・。
【規格サイズについて】
・2.5inch
ノート用HDDやSATA-SSDの主流サイズ。SATA規格が主流だが、一部製品には高速通信規格としてU.2規格(SFF‐8639)のSSD(サーバー向け)がある。
・3.5inch
大容量を筆頭としたデスクトップ用HDDが主流のサイズ。SATA規格が主流。
・mSATA
M.2はこれの後継期。タブレットやノート用としてコンパクトサイズとして開発されたが、SATA接続のため低速。
・M.2 (PCIe×NVMe/SATA3.0_6Gbps×NGFF)
通信プロトコルにより通信速度は異なる。主流は2280サイズ。22が幅、80が長さとなっている。規格のサイズは2240,2260,2280,22100と各種あり。
【通信規格(プロトコル)と速度について(コネクタ含む)】
ひとつM.2と言っても通信規格が様々存在している。イメージとして速い自動車と言ってもレーシングカーやラリーカー・スポーツカーと様々あるのと同じだ。
さて、M.2にはPCIeレーンを用いた接続のNVMe規格と、従来のSATA3.0(6Gbps)接続のNGFFのSATA_M.2規格が大まかに2大分類となる。日本国内ではM.2_NVMEと呼ばれることが多い。
EX) PCIe3.0×NVMe・PCIe4.0×NVMe・PCIe5.0×NVMe
どう違うかという点だが、PCIeレーンとは、グラフィックボードを接続するPCIEx16と同じレーン帯域に接続する方法だ。つまり爆速だ。PCIeレーンは現在3.0や4.0、次世代規格として5.0が策定されている。つまりこの先も続投している(であろう)規格であり、改良が見込める通信規格となる。ただし、CPUからPCIeレーンは引き出す上限値が決まっており、その上限の中からグラフィックボードやNVMe.SSDの帯域を割り当てにより取り合うことになる。もちろん上限を超えた接続は例外を除いて不可。CPUからPCIe帯域を増やすチップセットがマザーボードに実装されている場合は、チップセット経由で接続できることがあるが、チップセット経由になると速度低下が発生してしまう。
また、容量の単価が高く、発熱量が多いため、冷却対策が必須となっている。熱対策を怠ると、故障の原因やパフォーマンス低下(サーマルスロットリング)といった原因になってしまう。圧倒的速度を得る代わりにそれなりの対応が必要とされる商品となる。
差し込み口である接続コネクタはM keyといい、1つ欠けている形状となる。転送速度はPCIe3.0が理論上4,000MB/sであり、PCIe4.0は理論上5,000MB/s
見た目は同じに見えるSATA接続のM.2について。
海外ではNGFFと呼称されているが、日本国内ではSATA_M.2と呼ばれることが多い。
EX)SATA3.0(6Gbps)×NGFF
PCIeで接続するNVMeと異なり、速度はSATA3.0の上限値となる。SATA SSDの理論上の転送速度は600MB/s
SATA接続になるため、2.5inchや3.5inchのHDDと同じSATA接続規格群になる。M.2のスロットに差し込むことになるが、MBによっては共用や排他により、n番SATAコネクタが使えなくなるなど注意が必要だ。従来から一般的にHDDドライブの接続に使われてきた規格であり「省電力」「発熱量が少ない」「安価」などのメリットがある。古めのノートパソコンなどにも対応できるためHDDからの載せ替えなどにも柔軟に対応できる。
M.2の形状だが、接続はSATA規格になるため、エンクロージャーと呼ばれる箱を用意し、箱に入れてしまえば、2.5InchのSSDと同じように取り扱うことができるのも便利な利点だ。
M.2差し込み口である接続コネクタはB&M
keyといい、2つ欠けている形状となる。
大まかに外見から通信規格あたりまで説明をおこなったが、SSDはHDDよりも奥が深く、例えていうならばミニバンと言ってもトヨタのアルファードやノア、日産のエルグランドやセレナ、ホンダのステップワゴンやオデッセイと同じ感じで各社様々な製品を出している。HDDは3社(Seagate/WestanDigital/Toshiba)が有名だが、SSDは2023年時点で大小合わせて130社以上もの会社が存在しており、大手零細含めて淘汰されるのもまもなくだろう。
SSDについて、通信規格は大まかにコネクタで判断でき、ここが最重要と思われるかもしれないが、もっとも重要なものはSSDに搭載されているコントローラーやメモリチップである。
受けた被害
ちなみに、中華を中心に、SSDの容量偽装が広がっており、安いからと言って手を伸ばしてはいけない。(戒め)3台ぐらいやられた。
HDDは偽装がないので安心してください。
次への話題
次の記事では、年々開発されているコントローラーや、メモリチップの判断方法や、大まかな性能について解説する。
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